大阪府藤井寺市 池田医院 内科・胃腸科・循環器科・小児科・皮膚科・糖尿病専門外来・胃がん、大腸がん検診・往診・在宅医療

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池田医院の糖尿病について
2型糖尿病の新薬(選択的SGLT2阻害薬)について
今年の4月から日本で各社から相次いで発売される予定ですが本内科に受診されている方からも問い合わせがあります。欧米ではすでに約2年前より発売されており、処方される患者数も大分増加していると聞きます。欧米の2型糖尿病の患者は日本より肥満度がかなり高く、日本でも肥満型の2型糖尿病(メタボリックシンドローム)も増加しているので、この新薬の効果が発揮される症例も多くおられると思われますが、糖尿病専門医に対する講演会は単に薬の宣伝のみならず、使用上の注意点をもふまえた講演もありました。今回はわかりやすい薬の資料の画像も用いて概要と注意すべき点、今自分が理解できる範囲でどのような方に投薬することがふさわしいのかなどを考察してみました。
 SGLT2阻害薬の開発の経緯、作用機序、分類(作用機序から)
この系統の薬は1835にリンゴの樹皮から発見されたフロリジンが起源です。1886にフロリジンが尿糖を誘発することが明らかにされ、1970に糖尿病動物に研究用試薬として用いられ、その後インスリン抵抗性改善作用も確認され、その後糖尿病の治療薬としてフロリジン骨格を持った化合物が開発されています。SGLT2阻害薬の作用機序は選択的にSGLT2を阻害し、血糖を低下させる新しい作用機序のインスリン非依存的な2型糖尿病治療薬です。この薬の登場にて2型糖尿病の治療薬分類がさらに細かくなります。SGLT2(ナトリウム-グルコ-ス共輸送体) はナトリウムとともにグルコ-スを細胞内に取り込む細胞膜上のトランスポーター(糖の再吸収を助ける役割を持ったたんぱく質)でSGLT2は腎の近位尿細管でグルコースの再吸収の90%を担います。わかりやすく下図に示しました。
 
 
 
 
 
 
 
投薬上注意を要すると考えられる点
SGLT2阻害薬は各社から発売されますが大きく作用が異なることはあまりなく、Hba1cの低下は単独常用量で1~1.3%とされ、他に長期投与にて体重の減少が認められます(約1.5kg~2kg)。腎機能低下のある人には効果が減弱し、他の2型糖尿病治療薬との併用も認められていますが、併用により低血糖以外に今まで経験したことのない副作用も注意すべきと高名な先生がおっしゃっています。特に注意の必要な副作用に関して下記に示しました。
 
 
 
SGLT2阻害薬の投与が考えやすい患者さんのイメージ
現時点で最もこの薬が合うと思われるのは体重増加タイプ(メタボリックタイプ)の2型糖尿病で体重を減らすことによりメリットが大きく、また比較的若い方で脳梗塞・腎障害などの合併症も少なく、食事療法がやや不十分で、HbA1c7~8程度に効果を発揮するのではと考えています。この薬を開始する場合全く食事療法のみか、投薬も数種類の方のほうがわかりやすいでしょう。現在強力な糖質制限をされている方は避けるほうがよいでしょう。このように自身では考えています。糖尿病は療養が最も基本にあるものなのであくまで療養がしっかりできた上での投薬管理と思います。SGLT2阻害薬が単なる痩せ薬にならぬようにと思います。下記に療養10か条を示しました。
 
 
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