大阪府藤井寺市 池田医院 内科・胃腸科・循環器科・小児科・皮膚科・糖尿病専門外来・胃がん、大腸がん検診・往診・在宅医療

医療法人 真貴会 池田医院本文へジャンプ
池田医院のよく見られる疾患について
ピロリ菌と胃・十二指腸潰瘍
胃・十二指腸潰瘍とは?
胃は塩酸やペプシンなどの消化液を分泌して、食べ物の消化を行っています。この胃液が、何らかの原因で食べ物だけでなく、胃や十二指腸の粘膜をも消化してしまう疾患が胃・十二指腸潰瘍で消化性潰瘍とも呼ばれています。

胃・十二指腸は丈夫な組織でできていて、内側は粘膜、外側は奨膜という膜でそれぞれ覆われています。潰瘍とは、胃液という強い酸の刺激によって胃の組織が傷ついて剥がれ落ち、内側からえぐられた状態をいいます。

軽いものでは粘膜が傷つくだけですみますが、進行すると筋層まで深くえぐられるようになり、ついには奨膜を突き破って胃壁に穴があいてしまうこともあります。
胃潰瘍・十二指腸の好発部位
潰瘍の深さと特徴
胃・十二指腸潰瘍の症状
自覚症状で最も多いのが、みぞおちの痛みです。症候的には胃潰瘍の痛みは食事中から食後に起こることが多く、十二指腸潰瘍の痛みは空腹時、特に早朝に痛むことが多く、十二指腸潰瘍のほうが、より痛みが強い傾向があり、潰瘍の場所によっては、背中が痛むこともあります。その他胸焼けや胃もたれゲップなど、また吐き気や嘔吐、食欲不振を伴うこともあります。潰瘍がかなり進行した場合には、吐血、タール便(下血)も出現することがあり、緊急に病院での治療が必要です。最近でも潰瘍の出血で命を落とした人はたくさんいます。また高齢者や鎮痛薬を服用しているひとでは、自覚症状のない場合があり、出血したり腹膜炎などの重い合併症を起こして初めて潰瘍に気付くという場合もあります。
潰瘍の症状
胃・十二指腸潰瘍発症のメカニズム
健康な胃・十二指腸では攻撃因子(胃酸・ペプシン等)防御因子(粘液・粘膜の抵抗力・粘膜の血流)のバランスうまくたもたれていますが」。なんらかの原因で攻撃因子と防御因子のバランスがくずれると、胃液が胃・十二指腸の組織を傷つけるようになり、潰瘍が起こります。バランスがくずれる原因として、ストレス、アルコール、たばこ(ニコチン)、鎮痛剤などが考えられてきました。さらに近年になりヘリコバクタ-・ピロリという細菌(ピロリ菌)が潰瘍発症や再発に深く関与していることがわかってきました。ピロリ菌は胃の壁を傷つけ胃を守っている粘液を減らし、酸の攻撃を受けやすくしてしまうので、胃炎や消化性潰瘍を発症させる要因となります。
KEY WORDS(関連用語)
ヘリコバクターピロリとは?
長い間、強い酸がある胃のなかには細菌が住めないと考えられてきましたが、オ-ストラリアの研究者が1982に胃の中からピロリ菌を発見し、培養に成功し。過酷な環境がかえって居心地がよいという、奇妙な細菌がみつかったことで、センセーショナルな話題となりました。ピロリ菌に感染すると、ほぼ100%急性胃炎が起こります。ピロリ菌による胃炎は慢性に持続するのが特徴です。胃炎により、粘膜が荒れた状態になっているところにストレス等の影響が加わると、粘膜の防御因子と攻撃因子バランスがくずれ、潰瘍になりやすい下地ができてやがて潰瘍を形成することとなります。しかしピロリ菌に感染しても潰瘍になる人は感染者の2~3%といわれ、粘膜の炎症だけで、自覚症状もなくピロリ菌と共に過ごす人のほうが多いのです。
ヘリコバクター徹底解剖
ピロリ菌の潰瘍形成・粘膜障害のメカニズム
胃腸病とピロリ菌感染率
潰瘍の検査
胃の状態を調べる代表的検査にはX線検査(バリウム検査)と内視鏡検査(胃カメラ)があります。他の病気の鑑別診断や潰瘍の合併症検索として血液検査・便検査・画像検査(腹部超音波・腹部CTSCAN・腹部単純X線検査)があります。
ピロリ菌感染の有無を調べるには?
内視鏡を使う方法
①迅速ウレアーゼ試験:ピロリ菌のもつ酵素の働きで作り出されるアンモニアを調べて、ピロリ菌がいるかどうかを判断します。
     
②鏡検法:生検により採取した組織を染色して顕微鏡で観察することにより、ピロリ菌がいるかどうかを調べます。

③培養法:生検により採取した組織を培養して、ピロリ菌が増えるかどうかを調べます。
内視鏡を使わない方法
①抗体測定:血液や尿を採取してピロリ菌に対する抗体の有無を調べることにより、ピロリ菌の感染を判定します。

②尿素呼気試験:検査用の薬を飲み一定時間経過した後に、呼気を調べて、ピロリ菌感染しているかどうかを判定します。

③その他の検査法:便検査等もあります。
ピロリ菌の検査はこれらのうち、いずれかを用いておこなわれますが、一つだけでなく複数の検査を複数の検査を行えば、より確かな判定が可能です。
ピロリ菌の除菌療法
胃・十二指腸潰瘍は、いったん薬でよくなっても、これまでは服用をやめると再発が多く薬を飲み続けなければならないというジレンマがありました。ピロリ菌の発見以降、再発する人の多くには、ピロリ菌の存在がわかってきました。ピロリ菌がいる限り胃の炎症は続き、潰瘍が再発する可能性が残るのです。ピロリ菌に感染している潰瘍の患者さんにピロリ菌除菌療法がうまくできれば、潰瘍の再発がほとんど起こらないことが明らかになっています。以下ピロリ菌診断・治療の流れ、具体的な治療法を示しました。
三者併用療法
上記の三者併用療法で80%以上の除菌効果が当初はありましたが、除菌率の低下が最近指摘され、マクロライド系抗生剤をフラジール(250)2Tへ変更する除菌治療が上記の治療(三者併用療法)が無効時に限り、保険で認められるようになっています。除菌療法の副作用としては下痢、軟便、味覚異常、発熱、腹痛、発疹、等抗生剤の副作用に伴うものがあり、主治医によく確認することが肝要です。除菌終了後に生じる問題点は約5~10%に胃や十二指腸のびらん、逆流性食道炎が報告されていますが、いづれも軽微か無症状のことが多く治療が必要となることは少ないということです。これらの原因は低下した胃酸の分泌が正常戻ったためと考えられています。日本では50歳以上の70~80%がピロリ菌に感染しているといわれいます。最近の研究ではピロリ菌と胃癌の関係についても解明されつつあります。ピロリ菌が陽性であると、胃癌のリスクが高まります。

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