大阪府藤井寺市 池田医院 内科・胃腸科・循環器科・小児科・皮膚科・糖尿病専門外来・胃がん、大腸がん検診・往診・在宅医療

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池田医院の糖尿病について
1型糖尿病のSGLT-2阻害薬の適応拡大とケトアシド-シス
2018年12月から初めてSGLT-2阻害薬の適応拡大でI型糖尿病に使用が認められ、さらにもう1種のSGLT-2阻害薬の適応拡大も認められ、現在は2種類のSGLT-2阻害薬が1型糖尿病に保険適応拡大となりました。1型糖尿病の患者に薬剤を使用する場合はあらかじめ適切なインスリン治療を十分に行った上で、血糖値のコントロ-ルが十分に得られない場合に限定され、本薬はインスリンの代替え薬ではないので、インスリンを中止すると、急激な高血糖や、ケトアシド-シスを招く危険性があるので、本薬投薬中は決してインスリンを中止しないこと、また低血糖を軽減するため併用するインスリンの用量(約15%)を減量を検討することが推奨されています。患者ごとのリスクとベネフィットを的確に把握して薬剤の投与をすることが必要で、その投与に適した患者像は太っており、インスリン投与量が多く、自己マネジメントができる患者とされています。
ケトアシド-シスの症状とそのメカニズム
1型糖尿病の患者さんは、インスリンを体内で作ることができません。そのため、ケトアシド-シスは1型糖尿病の患者では一般的に起こり得る事象です。ケトアシド-シスのメカニズムは体の中の脂肪酸が分解されると、ケトン体が作られ、徐々に血液中にたまります。(ケト-シス)ケトン体は酸性なので、量が増えると血液が酸性になります。(アシド-シス)この状態をケトアシド-シスといいます。1型糖尿病の患者さんはインスリンを体内で作ることができないため、ケトアシド-シスのリスクが高く、糖尿病患者さんで起こる場合糖尿病性ケトアシド-シスと呼びます。また通常、糖尿病性ケトアシドシスは高血糖となりますが、SGLT-2阻害薬の投与をしている場合は高血糖がなくともケトアシド-シスがあらわれることがあります。
 
 
 どのようなときにケトアシド-シスシスが起こりやすいか?
 シックデイ(体調不良、高熱、下痢・嘔吐、何らかの事情で食事ができないとき)
上記のような場合は次のSGLT-2阻害薬の服用前に主治医に連絡し、指示を仰ぐ。
急激にインスリン量を減らした場合(インスリン注射を忘れた、インスリンペンやインスリンポンプに問題があり、適切に投与ができなかったとき)
過度な糖質摂取制限(炭水化物ダイエット)を行っているとき この場合は自己判断で過度な糖質制限を行わないようにする。
激しい運動時、外科手術時、アルコ-ル多飲時、脱水状態が進んだとき
 SGLT-2阻害薬投薬中の2型糖尿病のケトアシド-シス発現の考察
 最近正常血糖ケトアシド-シスという病態がトピックスになっています。糖尿病性ケトアシド-シスは急性発症の1型糖尿病で起こりやすい急性合併症と考えられますがこのときは著明な高血糖を示しますが、長時間食事もせず、インスリンも注射しないでいると、糖新生や肝糖放出の限界を超えてグリコ-ゲンの蓄積がなくなり、血糖値は下がっても同時にインスリンの絶対不足に陥り、正常血糖ケトアシド-シスとなります。最近Ⅱ型糖尿病でSGLT-2阻害薬内服によっても同様の病態が報告されています。SGLT-2阻害薬は血糖値をシャ-プに切ってくれる薬ですが、血糖降下に伴い内因性のインスリンの分泌も低下しすぎることがあり、また、非生理的な血糖の低下に反応し、グルカゴンの分泌も増加します。インスリンの分泌量の低下により脂肪細胞での脂肪酸同化ができがたくなり、遊離脂肪酸が肝臓に供給され、また肝臓では過剰なグルカゴンがベ-タ-酸化を促進し、ケトン体産生が亢進します。低炭水化物ダイエットをSGLT-2阻害薬投薬時に行っている場合は特に注意が必要で患者さんの食生活を詳しく聴取することが必要です。健常人に比べて膵ベ-タ-細胞の弱っている2型糖尿病の患者さんはケトアシド-シスのリスクを考え極端な食事などの考えは避けたほうが賢明と思われます。
 標準的な2型糖尿病薬物治療の考え方
 私は2型糖尿病の薬物治療を開始する場合BMIによりまず最初はDPP-4阻害薬かメトホルミンのどちらかを選択することとしますが、高度の肥満・心不全等特別な状況にない限り、SGLT-2阻害薬は第一選択とはあまり考えていません。それはSGLT-2阻害薬単独ではいわゆるグルカゴンの暴走といわれる病態になり、何らこの理由でSGLT-2阻害薬を中断したときに反動で血糖値が急激に上昇したり、また食欲が亢進したり、かえって体重が増加したりすることがあり、既にDPP-4阻害薬・メトホルミンが投薬されているとグルカゴンの分泌抑制という防波堤ができていて理にかなっていると思います。従ってSGLT-“2阻害薬は糖を切る3本目の矢と考えています。
 ケトアシド-シスを疑ったら
 主治医と連絡をとり血中ケトン体を測定する。SGLT-2阻害薬は中止する。血糖値を測定してインスリン注射は継続する。食事量を調整する。 ケトアシド-シスのリスクを最小限に抑えましょう。
 ケトアシド-シスチェックリスト
 主治医からの重要な指導の内容を記入し、SNSで写真を撮って保管しておいてください。
 
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